彼氏の上手なつくりか譚
「カーッ! じゃあオレ、まるっきり脈なしで、嫌われるために頑張ってたのかよお……」
頭を抱えて露骨に残念がる上川くんは、真奈に好かれるために、一体どんなことをしてきたのだろうか。
でも、恋する男子ってこんな感じなんだ。なんか、可愛い。
そんな上川くんを見ていると、心から応援したくなる。バカだけど。
それに相手が上川くんじゃなくても、真奈には幸せになってほしいと常日頃から思っていた。
それができるのは、私しかいないんじゃないか。上川くんの告白を聞いて、私がなんとかしなきゃという使命感のようなものが生まれた。
「上川くん、私でよかったら、真奈と上手くいくように協力してあげよっか?」
「ホ、ホントか?」上川くんが私の手をとった。
「ホントに、俺と川上が上手くいくように、協力してくれんのか?」
「100%成功するって断言はできないけど、100%の努力はするよ」
「おおー! すっげー! すっげー頼もしい!」
感動のあまり、上川くんが抱き着いてきた。
そういうところだよ、上川くん。好きな人でもない女子に抱き着くようなことするから、バカとか言われるんだよ。
そう思ったけど、私はあえて言わなかった。