彼氏の上手なつくりか譚





「ん? どうかした?」


私が立ち止まったことに気づいた下村くんが振り返った。


「下村くん! あのね……」


ああ、手が震える。足がガクガク、心臓がドキドキ、胸がキュンキュンと締め付けられて苦しい。


深呼吸をする。それでも落ち着かない。


自分に言い聞かす。


ただ、返事をするだけだ。


「昨日の話なんだけど、私、下村くんのこと……」


「あー、その話ね」下村くんが私の言葉を無理矢理遮った。




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