彼氏の上手なつくりか譚





「確かに、上川くんってカッコイイもんね。僕には到底敵わないよ。そもそも僕なんかのくせに、山田さんと付き合えるわけないのに、バカだよね、僕」


「違う! 違うの、下村くん!」


「もちろん、昨日見たことは誰にも言わないし、このキャンプが終わったら、僕は山田さんの前から消えるから」


「下村くん、違うんだって!」


「もういいんだよ!」下村くんからは聞いたことがないほど、大きな声を出した。


「もういいんだよ、諦めたんだ。それでいいんだ。それでおしまいにしたいんだ。そうじゃないと、なんかダメになりそう……」


下村くんは「なんか頭痛いから、他の誰かに代わってもらってくる」と言って、川へ戻って行った。




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