彼氏の上手なつくりか譚





一人残された私の視界はぼやけていた。


目の前の「本館入り口」という看板がぼやけてはくっきり、ぼやけてはくっきり見えた。


いい天気。それなのに、私の顔はびしょびしょに濡れている。


生温かいしずくが、後から後から降ってくる。




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