彼氏の上手なつくりか譚





8月18日(土)


花火大会まであと1日となった夜、いきなり上川くんから連絡がきた。


それもメッセージじゃなくて、通話で。


「もしもし、理沙ちゃん、助けてくれない?」


上川くんの声は切羽詰まっていて、まるで借金取りにでも追われているような、緊迫したものだった。


「ど、どうしたの? 何かあった?」


「実はさー、オレ、夏休みって31日までだと思ってたんだけど、19日までだってさっき知ってさー」


あー、そういうことか。私はすべてを理解した。


「ちなみに、あと何が残ってるの?」


「数学のプリント全部と英語のワーク、あと読書感想文」


「ちょ、ちょっと待って? それって全部じゃん!」




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