彼氏の上手なつくりか譚
「いや、古典の現代語訳はさっき終わらせた。英語のワークも今、通話しながら答え写してる」
まったく。こんなので、よくキャンプに行ったものだ。
「そこで、相談なんだけど、明日の朝一で理沙ちゃん家、行ってもいい?」
「はあ?」声が裏返った。
「なんで私の家なの?」
「宿題手伝ってほしいのと、ほら、花火大会の作戦会議もしたいし……」
それはわかるけど……。
いきなり男子を部屋に入れるのはさすがに……。
「頼む! 後生だ理沙ちゃん! たこ焼き奢るから!」
でも、よく考えてみれば、上川くんの宿題が終わらなくて、花火大会が中止なんてことになったら、私も困る。
ここは……致し方ない。
「わかった。それじゃ、今夜中に英語のワークだけでも済ませといて! いい?」
「ありがとう! 恩に着るよ!」
通話が終了し、上川くんに家の住所を送った。
さて、私も準備をしなければ……。