彼氏の上手なつくりか譚





「え? それって男の子?」


「あ、うん、そう」


母さんは「まあ大変!」と言って、夜にもかかわらず、リビングを掃除機でかけはじめた。


「ちょっと、大袈裟だよ! どうせリビングなんか来ないって!」


と掃除機の音に負けないように声を張ったけど、母さんの掃除機は止まらない。


「どうした? 掃除機なんかかけて」


お風呂から上がった父さんが髪を拭きながら、母さんに聞いた。


「明日理沙が彼氏連れてくるのよ!」


「何ぃー!? それは大変だ!」


マンガみたいなことってあるんだな。


「彼氏じゃないから! ただの友達だから!」


そう弁解しても、こういう時、親は聞いてくれない。


「まあ、照れちゃって!」とでも思っているのかもしれない。




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