彼氏の上手なつくりか譚





そんなことがあり、翌朝8時、家族総出で上川くんを出迎えた。


「あ、初めまして。上川です」


そう言った上川くんは明らかに動揺していて、母さんは私に「イケメンじゃない!」と小声でウキウキしながら言い、父さんは「娘はやらん!」とでも言いたげな顔で、上川くんを舐めまわすように見ている。


上川くんを私の部屋に通し、二人っきりになったところで、上川くんに「オレのこと、ご両親にどう説明したわけ?」と聞かれた。


「普通に友達が来るって言っただけだよ。それなのに、勝手に勘違いしちゃって……」


「そうなんだ。なんかごめん。誤解されるようなこと……」


「あ、いや、私の方こそ、なんかごめん……」


気まずい空気が流れる。


別に私も上川くんも悪いことをしたわけじゃないのに、どうしてこんな気持ちにならなきゃいけないのか。


まあ、これも上川くんが宿題してなかったのが悪い。たこ焼きだけじゃ割に合わない。りんご飴も買ってもらおう。




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