彼氏の上手なつくりか譚
「オレさあ、今日告白しようと思うんだ」
原稿用紙を広げた上川くんが重々しい雰囲気を出しながら言った。
「やめた方がいいと思う」
「なんで?」
「だって、今のままだったら脈なしだよ、きっと」
「そんなのやってみないとわかんないだろ?」
真面目な顔で言う上川くんを見ていたら、私は我慢できなくなって吹き出した。
「無理に決まってんじゃん! 無理無理。そりゃ告白するのは勝手だけど、失敗したらどうするの?」
「失敗は、しない……」
「そうじゃなくて、仮にしたらの話。自殺する? それとも新しい恋をする?」
上川くんは腕を組んで少しの間、考え込んだ。
「うーん、例え振られても、嫌いになるってことはないと思うから、多分、また告白すると思う。OKもらうまで、ずっと」
意外な答えが返ってきて、どうしてそこまで一人の人に固執するのか、私は不思議だった。
「もし、一生OKもらえなかったら?」