彼氏の上手なつくりか譚
「こいつは、耳が何だかマイタケみたいだな」
お父さんのその一言で、一匹のチワワにマイという名前が付けられた。
そんなマイは、私が生まれるよりも前からいて、一人っ子の私にとって、マイはお姉さんのような存在だった。
母さんの話では、私がぐずって泣くと、マイが飛んできて、ガラガラのおもちゃを転がしたりして、私を泣き止ませてくれたらしい。
アルバムを見ても、いつもマイと一緒。
幼稚園に初めて行くときは、友達ができるか不安だった私が、マイを幼稚園に連れて行こうとして、母さんに怒られたこともあった。これは今でもよく覚えている。
小学生になると、放課後、友達と毎日のようにマイの散歩に行っていた。
自転車に乗れるようになると、ハンドルにリールを結び付けて、一緒に走ったこともあった。あれは今考えると危なかったな。
私が学校で楽しいことがあった時でも、泣きながら帰ってきた時でも、マイは決まって私に飛びついて迎えてくれた。
あの愛らしい姿が、恋しい……。