彼氏の上手なつくりか譚
上川くんが「イカ焼き食おうぜ!」と言った時、私はこのままじゃまずいと思って、屋台を見回した。
「あ、私、イカ焼きパス。それよりもわたあめ食べたい!」
本当は、甘いもの続きだったから、イカ焼きの方が食べたかった。
しかし、ここで誰かが他の提案をすれば、二手に分かれることができるはずと踏んだのだ。
苦肉の策。
上川くんも私の意図を理解したのか、「なんだよ。ここはイカ焼きだろ!」と対抗してきた。
それでいい。よし、ここだ!
「中越くん、わたあめ食べたいんだけど、付いてきてくれない?」
「いや、それならオレは、金魚すくいしたいんだが……」
バ、バッキャロー!!
なんでそうなるかな。私、仮にも女の子だよ? ここ明るいけど一応夜道だよ? 普通、付いてくるでしょ、男なら!
「あ、金魚すくい! いいわね、私もやりたい!」
しかも、それに真奈が乗っちゃうという最悪な事態発生。