彼氏の上手なつくりか譚
「で、でも、安心して? 私、これからも理沙の彼氏作りは協力するから! いや、今まで以上に頑張るから! 必要なら上川も導入するし、だから、そこはホント心配しなくていいから!」
「ありがとう。でも、いいんだ、私」
「え? いいって、諦めるの? まだ中越くんもいるじゃん!」
「あー、中越くんね。正直、ちょっと無理かな。センスとかどうしても理解できないし、あと鈍感なところとかも」
「鈍感なのはうちの上川だって同じよ。センスだって」
うちの……ときたか(笑)
「でも、鈍感は時に人をイライラさせることもあるし、センスだってずば抜けて悪いもん。だって、武士だよ? 武士」
「そりゃ、武士はあれだけど……でも、そんなこと、小さなことでしょ?」
「うん、そう、小さなこと。でもね、そういう小さなことでも許せない私は、中越くんのことが好きじゃないってことなんだと思ったんだ。その点、真奈は上川くんのそういうところ、小さなことだって思ったから、上川くんの本当のいいところに惚れたから付き合ったんでしょ?」
「そりゃ、まあ、うん……」
「それに私、恋愛に向いてないみたいだし、もう追うのはやめて、チャンスが来るのを座して待とうかなって」
「そんなんじゃあんた、売れ残っちゃうわよ? 30にもなって、結婚できない女の典型じゃん!」
「それはそれでいいと思ってるよ。仕事が充実してたら尚更。それよりも、私に今、大事なのは勉強だもん。とりあえず、明日のテストで今日の失敗を取り返す。それが今の私の目標なんだ」
真奈は納得いかないといった感じで、肘をついて、メロンソーダを飲み干した。
でも、ただ単に恋愛に疲れたっていうのも本心だった。