彼氏の上手なつくりか譚
な、ななななんてことを、なんてサラッと!
いや、失礼でしょ! 仮にそうだったとして、レディーが勇気振り絞って連絡先聞いて、それを好きと変換するのは、まあ、いいとして、それを口に出して言うかね、普通。
なんか、もう……。
「バカ! もういいです! 聞いてたまるかバカ!」
「なんだよ。素直になれよ。好きなんだろ?」
「好きじゃないです!」
「あー、いいのいいの。オレ、そういうの慣れてるからさ。こういうこと言う奴は、裏返して取るから大丈夫」
「あー、もう、腹立つ! 真奈、私今からこいつを殴ります」
「ちょ、ちょっと! 殴るのはダメよ!」
真奈に羽交い絞めにされて、そんな私にカイエンくんはあの人をイライラさせる、ニヤケ顔で近づいてきた。
「離して! 殴らせろー!」
それから、ポケットから黒のマジックペンを取り出し、キャップを外して、私の顎を左手で掴んで、右手に持ったペンを走らせた。
「ちょっと! 何するんですか!」
「動くな、雌犬。じっとしてろ!」
されるがままの私。頬にペンの当たる感触が気持ち悪い。
やがて、ペンが止まって、キャップに戻った。