彼氏の上手なつくりか譚
死刑執行当日。
私はめんどくさがる真奈を無理矢理引き連れて、天野快延死刑囚を屋上へと呼び出した。
「もしかしたら、間違えただけじゃないの?」
金属バットを持った私について歩く真奈が言った。
「自分のケータイの番号、間違うバカがどこにいるのよ!」
「いや、そうじゃなくて、あんたが、よ」
「……私が?」
屋上へと続く階段の途中で、足が止まった。
「そうよ。鏡で映しながら書いたんだから、5が2に見えたとか、6を0ととらえちゃったとか、ありそうな話じゃない」
確かにそれも無きにしも非ず……。
でも、それならあんなところに書いたカイエンくんが悪いのであって、やっぱりカイエンくんをボコボコにしないと気が休まらないという結論に達し、私はまた階段を上り始めた。