彼氏の上手なつくりか譚
「そんなこと言うけどさあ、キミが間違った番号控えたって可能性だってあるんじゃないか?」
真奈と同じことを言われ、少しドキッとしたけど、ここでひるんじゃダメ。
隙を見せたら、負ける。
「私がそんなヘマするわけないでしょ!」
「いや、するだろ。だって、88位のバカ女だぜ? するよ。88位のバカ女は」
あー、もう、一言多い!
「でも、確かに88位のバカ女でも、1回でわかるだろうって判断したオレが間違ってたな。バカには2、3回教えてやらねーとわかんないんだ」とまたイラッとさせることを言って、私に近づいてきた。
手には……黒のマジックペンを持って。
もうあの手は食わない。私はバットを構えた。
来るなら来い。頭にゴツンとやってやる。
しかし、カイエンくんは脅しに屈せず、ニヤニヤと間合いを詰めてきた。
私はここだ! と思い、渾身の力でバットを振り下ろした。