彼氏の上手なつくりか譚
パスッ!
目をゆっくり開けると、振り下ろしたバットはカイエンくんの左手に収まっていた。
「ぬっ! この、この!」
バットを押したり、引いたり、左右に振ったりしてみても、カイエンくんの左手からは離れない。
「こんなもん、振り回してたら危ないよ?」
とニヤケ顔で言ったカイエンくんにバットを引っこ抜かれ、投げ捨てられてしまった。
こうなったら……鉄拳制裁しかない!
「食らえー!」
渾身の右ストレート。しかしそれもカイエンくんは、左手一つで受け止め、私の右拳を掴むと、そのままグイッと引き寄せた。
「うわっ! ちょ、ちょ!」
前につんのめった私の身体は、カイエンくんの胸元に収まると、そのまま反転して、後ろから抱きしめられる形になった。