彼氏の上手なつくりか譚
26>>自殺は止めるべし。
ヒトミさんの声は、どこか淡々としていたけど、私にはどうもこれがイタズラ電話ではないような気がした。
そもそも、イタズラ電話は向こうからかかってくるもので、間違いでかけた先で、イタズラされるもんじゃないから、その可能性は限りなく0に近いと言っていいだろう。
ということは……え? 自殺!?
「ど、どういうことですか!?」
「私が死ぬので、あなたにはその手伝いをして頂きたいんです」
「そ、それって、私があなたを……こ、殺すってことですか?」
「いえ、そうじゃありません。そうですね、たとえば、私が首を吊って死ぬとしましょう。その時、あなたには私の首にロープをくくりつけて、木に吊るしてほしいんです。飛び降りで死ぬ場合なら、勇気の出ない私の背中をこう……ポンッと」
淡々と言うけど、それは最早、自殺に見せかけた殺人になるのではないだろうか……。