彼氏の上手なつくりか譚
「あの! 私が! ……私が悲しみます!」
「……あなたが?」
「そうです! ヒトミさん、あなたが死んだら、私は悲しみますよ! だから、お願いです! 私にできることがあったら何でも言ってください! あ、自殺の手伝い以外で、ですよ?」
すると、しばらくの沈黙の後、電話越しに笑い声が聞こえてきた。
「ヒトミ……さん?」
「あ、ご、ごめんなさい。なんか嬉しくって……ごめんなさい」
「いえ、それで生きていく勇気になってくれれば、私も嬉しいです。どんどん笑ってください!」
「フッ……フフッ……」
ヒトミさんの笑い声は美しかった。まるで、子供のような純粋さがあって、聞いていると、こっちまで笑ってしまう、そんな笑い声だった。