彼氏の上手なつくりか譚





「わ、わだじの……どもだぢ……いいんでずが!」


「いいです、いいです! ヒトミさん、面白いですし、落ち着きますし、私、友達になりたいです!」


「ぼ、ぼんどに? でずが!」


「ぼ……ホントです! だから、泣かないでください!」


やれやれ、さっきまで笑っていたのに、今度は泣いてるよ……。


忙しい人だなあ。でも、面白いのも、落ち着くのも、友達になりたいっていうのも、本心だ。


自殺して欲しくないから仕方なくなんてことじゃない。


私はヒトミさんと本気で友達になりたいと思ったのだ。


「わ、わがりまじた! 泣き止みまず……あの、鼻がんでいいでずか?」


「あ、どうぞ、どうぞ!」


電話から少し離れて、ズズーッと鼻をかむ音が聞こえて、それから、


「はあ、泣いたらスッキリしました」


と本当にスッキリした声で言った。




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