彼氏の上手なつくりか譚
「それじゃあ、一度会ってください! その時、赤本や参考書を頂いたついでに、お茶でもしましょうよ!」
「まあ! それはいいですね! なんか友達って感じがします!」
「あの、ご都合はいつが……」
「私はいつでも大丈夫です……あ、月曜日は講義の関係で、19時過ぎてしまうので、避けた方がいいですかね」
「なら、明日! 明日ならどうですか! 私、17時には学校終わるので」
「はい、明日なら大丈夫です!」
「場所は……」
「それなら理沙さんの学校の前にあるファミレスにしませんか? 17時でどうでしょう?」
「はい! それなら大丈夫です!」
「ではまた明日。理沙さんに会えるのを楽しみにしてます。長々とすみませんでした。おやすみなさい」
「はーい、おやすみなさい」
電話を切って、ベッドに仰向けに寝転んで、なんだか不思議な体験をしたなあと実感がわかない。
友達になるのって、何となく話すようになっていつの間にか友達になってるもんだけど、でも、それは私が勝手に思ってるだけで、相手は友達とは思ってないかもしれないってこともある。
真奈だってそうだ。私のことを本当に友達と思っていないかもしれない。友達は友達でも、私が思う真奈と真奈が思う私とではギャップがあるのかもしれない。
でも、ヒトミさんは友達だってはっきり言える。もちろん、ギャップはあるかもしれないけど、でも、ギャップなんかあって当然で、そこに隙間一つないのは、最早友達じゃない。恋人だ。