彼氏の上手なつくりか譚
「あ、あの……」
「何?」彼(または彼女)がダルそうに首を傾げた。
「ああ、お金のことなら心配いらないから。好きなもの食べて、好きなもの飲んでいいから」
「あ、いえ、そうじゃなくてですね……」
「ってかさー」彼(または彼女)が私にフォークを向けた。
「理沙さん、高3だろ? なんで敬語?」
「な、なんでって、そりゃ目上の人には、敬語が普通かと……」
「目上? ああ、オレ、高1だよ?」
へ? 高1?
「ヒトミさん……ですよね?」
「ああ。ヒトミだよ」
「でも、私の知ってるヒトミさんとはちょっと違うっていうか、かなりギャップがあるというか……」
「私の知ってるヒトミさん?」すると彼(または彼女)がいきなり笑い出した。
「あー、そりゃ違うよ。うん、違う違う」
「え? じゃあ、やっぱりヒトミさんじゃないんじゃ……」
そう言いかけたとき、彼(または彼女)の目線が私の背後に変わって、振り向くと、背後に一人の女性が立っていた。