彼氏の上手なつくりか譚
「姉ちゃん、見る目なさすぎ」ボソッと弟、航大くんが口を挟んだ。
「現役高校生のオレから言わせてもらうと、この顔はブスだね。どうせ彼氏もいないだろうよ。だから今日も暇だったんだろ?」
うわあ……このクソガキ、可愛くない。
口悪いな……まあ、彼氏いないのは当たってるけど!
あと2年も経てば、誰かさんそっくりになりそう。
「こら! 失礼なこと言わないの!」
早希さんがコーダイくんの頭をゴチンとやった。意外とそういうことするんだなあ。
「姉ちゃん、オレは姉ちゃんのこと、心配して言ってるんだよ」
「お姉ちゃんの心配してるのに、どうして理沙さんの悪口言う必要があるの!」
「信用できないって言ってんの。こいつ、間違い電話してきたような奴だろ? バカっぽいけど、間違い電話を装った、詐欺集団の下っ端かもしれないだろ? 金もなさそうだし、こいつならやりかねないよ!」
うわあ……私、すごい言われよう。
まあ、仕方ないわな。間違い電話をしたのは事実だし。
大人になろう。うん、彼はまだ私より2年も若いんだ。大人になろう。怒らない、怒らない。