彼氏の上手なつくりか譚
「そうですか……あ、急ぎではないので、暇なときにでも聞いていただければそれでいいので」
「……はい」
と答えたものの、私は迷っていた。
こんな大事なことを私なんかの口で言っていいのか。
これを言ったところで、早希さんにとって、いい方向へ転ぶのか。
わからないのだ、どうしても。
むしろ、悪い方へ転びそうな気がする。
もしかしたら、早希さんがもう一度、死ぬと言い出すんじゃないか、私の懸念しているところはそこだった。
「さあ、どうぞどうぞ! いっぱい食べてくださいね!」
差し出されたサンドイッチもウィンナーも卵焼きもからあげも、きっと美味しいんだろうけど、どれも味がしない。
こんなことなら、引き受けなきゃよかった。
でも、人の命、友達の命がかかっているんだ。
あの時、ああすればよかったなんて、後悔はしたくない。