彼氏の上手なつくりか譚
お昼休憩が終わって、生徒席に戻る途中、私は肩を叩かれ、振り向くと、中越くんが立っていた。
「ちょっといいか?」
こくりと頷いて、中越くんに付いていく。行きついた先は、渡り廊下だった。
「何を詮索してるんだ?」
私と一定の距離をとって、中越くんが言った。
「詮索? 詮索なんかしてませんよ」
「でも、一緒にいただろ。ほら、あの……女子大生と」
やっぱり気づいていたんだ。というか、よく気づいたな、中越くん。
ここであえて、「どうしてあの人が女子大生だってわかったんですか?」と聞くのもいいかもしれない。でも、そういえば、話をはぐらかされる可能性がある。
これはチャンスなんだ。
早希さんの想いを伝えるチャンス……。