彼氏の上手なつくりか譚
「中越くん、早希さんと付き合ってたんですね」
その名前を出すと、中越くんは少し顔をしかめた。
「過去の話だ。今はもう付き合っていない」
「どうして別れたんですか?」
「……山田さんには関係ないことだ」
「それがあるんです。私、早希さんの友達なんで」
中越くんは重いため息をついた。めんどくさい、そっとしておいてくれ。そう言っているみたいな態度だ。
「確かにお節介というか、首を突っ込みすぎかなとは思います。でも、早希さん、中越くんに振られたショックで、自殺しようとしてたんですよ?」
「……自殺?」
さすがにこれには中越くんも少し動揺した。