彼氏の上手なつくりか譚





私は事の発端のすべてを中越くんに話した。


間違い電話をしたことから、早希さんと会って、早希さんから、元カレが中越くんだということを聞いたことまで。



さすがにカイエンくんのことは言えなかったけど、それでも十分中越くんには伝わったみたいだ。


「それで、山田さんはオレに何が言いたいんだ?」


「えっと、それは、早希さんの伝言を……」


「伝言?」中越くんが首を傾げた。


「違うな。本当に伝言を伝えたいだけなら、山田さん、あんたはもう言っているはずだ」


中越くんは鋭い。


私が言いたい本当の言葉を、言わなくても理解してるみたいだ。




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