彼氏の上手なつくりか譚
周りが運動会の後片付けに追われる中、私は学校前にあるファミレスに向かった。
その足取りは当然重く、誰もが歓喜の声と幸福のため息をつく放課後なのに、私はもう少し学校に残っていたいと思った。
嫌いな運動会の後片付けをするだけでもいい。あんな気まずいとわかっている場所に行くことを考えるとずっといい。
足取りはどんなに重くても、一歩一歩の積み重ねが私をファミレスへと運んでいく。
こんな調子で、何かを努力すれば、きっと夢も叶うんだろうなという気がした。
気が進まない日でも、とりあえず一歩。嫌々一歩。その後ろには道ができる。夢に近づく。
でも、ファミレスは夢か? 気まずさは希望か?
違う。例えるなら、歳を一つずつ重ねて、死に近づいている方がしっくりくる。