彼氏の上手なつくりか譚





ファミレスでは既に早希さんが待っていた。


「すみません。遅くなりました」


「いえ、こちらこそ、なんか巻き込んでしまって……すみません」


早希さんは運動会が終わってからずっと待ってくれたみたいで、その待ち時間に食べたのか、テーブルにはハチミツのついたお皿とナイフとフォークが置いてあった。


「あ、何か注文しますか?」


早希さんにメニューを手渡され、私はドリンクバーを注文した。


お腹は少し空いてたけど、この状況でとてもじゃないけど、何か食べる気にはなれなかった。


ドリンクバーのグラスが運ばれてきて、ふと早希さんのテーブルにはグラスらしきものがないことに気づいた。


「早希さん、何か飲まないんですか?」


「あ……」早希さんが口元に手をやった。


「忘れてました。そういえば、喉カラカラでした……」


なるほど。早希さんも早希さんでやっぱり緊張してるらしい。




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