彼氏の上手なつくりか譚





ああ、そうか。そうだった。


私、中越くんと友達だってこと、早希さんにまだ言ってなかったんだ。


「実は私、中越くんとは友達なんです」


「……友達、ですか?」


早希さんのその言葉には、明らかに私への疑いの気持ちが含まれていた。


「もちろん、ただの友達です。そりゃキャンプくらいは一緒に行きましたけど……」


とここまで言って、私は違う。そうじゃないと思った。


それじゃダメだ。


早希さんの考えているであろう、やましいことはない。ないなら、正直に、とても素直に、真実を言うべきなんだ。


それが友達ってものだ。友達ならきっと伝わるし、わかってくれるはずだ。




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