彼氏の上手なつくりか譚
「ごめんなさい。実は私、中越くんのこと狙ってました」
「……え?」早希さんの顔には、驚きとほんの少しの悲しみの色が混ざり合っていた。
「それは、恋愛感情に任せて、ということですか?」
「そういうことだと思います。初めはそういう感情はありませんでした。でも、中越くんと接していくうちに、あれ? ひょっとして好きなんじゃないかって思っちゃって。そしたら、いつの間にか好きになってて……で、でも、今は全くそういう感情はありません。だからその……」
「……お付き合いしてたとか、そういうのじゃなんですか?」
「もちろんです!」と言ってから私は、中越くんがキャンプの時に言っていたいたことを急に思い出した。
「みんなでキャンプに行った時、中越くん言ってました。好きな人がいるって。正直、私のことかなって思ってましたけど、あれはきっと早希さんのことだったんです。つまり、中越くんはまだ……」
と言いかけた時、背後に風を感じて、早希さんの視線が私の後ろに向いた。
「……久しぶり」
「……お久しぶりです」
私を挟んでの久しぶりの再会。