彼氏の上手なつくりか譚
「キミは本当にしつこい人だな……今度は何の用だ?」
屋上で例の如く、文庫本を片手に持ったカイエンくんがいかにもめんどくさそうに言った。
「あなたもしつこい人ですね……ケータイ番号また間違ってたじゃないですか」
「だから、そんなわけがないと言って……」
「ちゃんと言ってくれたらいいじゃないですか」言い訳なんか聞きたくない。
「嫌なら嫌ってちゃんと言ってくれたらいいじゃないですか」
「別に嫌とは言ってないだろう?」
「言ってたじゃないですか!」
「いいや、言ってない」
それから「言った」、「言ってない」のラリーを続けた。
って、そんなことを言いに来たんじゃなかった。