彼氏の上手なつくりか譚
31>>好きの意味を使い分けるべし。
一体私はなにをそんなに心配していたんだろう。
カイエンくんは話してみれば、話せる人で、話題が尽きることはなかった。
私たちは毎晩のように電話をした。どちらからともなく、電話をかけ、時にかかってきて、その度に当たり前のことを深く深く掘り下げた話をした。
それは私が普段から妄想しているようなことを共有しているようで、それを共感してくれることは、まるで心の会話をしているようで、楽しかった。
「結論、太陽があるから陰ができるわけで、陽キャラの人が陽キャラでいられるのは、陰キャラがいるおかげってことだな」
「ですね。そう考えると、なぜでしょう。陰キャラが誇らしいものに見えて、逆に陽キャラが惨めなものに見えてきますね」
こんなこと、周りから見れば、「え? 何が楽しいの?」って思うかもしれない。
でも、言わせてもらうなら、
「歌も大して上手くないのに、アイドルが踊ってるのをわざわざお金払って見に行って、何がそんなに楽しいの?」
「身長よりも高いネットを隔てて、大柄の人たちが協力して、ボールを相手のコートに叩きつけるスポーツの何がそんなに面白いの?」
つまり、面白さは人それぞれで、それを否定することは、否定される覚悟も必要で……みたいな話も、そういえばカイエンくんと話したっけ。