彼氏の上手なつくりか譚
「今出てるのは、たこ焼き、ベビーカステラ、チュロス、クレープ、焼きそばですが、他に何か案はありませんかー?」
おお、手が挙がること、挙がること……。
授業中なんて、あれ? 身内でもお亡くなりになったんですか? ってくらい、静かでしめやかなものなのに、まるで、お通夜の後の親戚のおじさんたちが、寿司を摘まみながら酒盛りをするかのような賑わい。
でも、よくよく考えたら、私たちの青春らしい行事はこの学園祭が最後なんだ。
卒業したその先には、もう青春はない。
校則で縛られた中で、おしゃれを工夫することもない。
当たり前のようにお酒を飲んで、当たり前のように恋愛をして、当たり前のように髪を染めて、当たり前のように車を乗り回す。
そうしていつの間にか大人になっていて、ああ、あの頃どうしてもっとああしなかったんだろうとか後悔しながらお酒を飲むようになるんだ。
後々のことを考えると、今のうちに楽しんでおいた方がいいんだろうなって気がするけど、それにしてもテンションがついていかない。
テスト前に、勉強をしておいた方がいいに決まってるってわかっていても、やる気が起きないのと同じ。