彼氏の上手なつくりか譚
「女の子に好きって言葉を使ったら、それは最早、恋愛としてってことになりますよ?」
「なんだ、そういうことか」
やっと理解してくれたみたいだ。
「だから気を付けた方がいいですよ。人によってはそれで、『あれ? ひょっとしてカイエンくん、私のこと、恋愛の意味で好きなの?』って勘違いする人もいますから」
「なるほどな。ということは、その逆もいるってことだな」
「その逆? つまり、カイエンくんは恋愛の意味で好きって言ったのに、友達として、人間として好きって捉えられるってことですか?」
「そういうことだ」
「なるほど……確かにそういう人もいるかもですね」
「なんだ。他人事みたいに」
「だって他人事……」
とここまで言って、私は気づいてしまった。
気づいて、顔がさっきよりも赤く、熱くなるのを感じた。額から汗が流れている。
胸が……胸が外側から内側にかけて、シューッと縮こまって、それからパッと広がって、じわじわ染みて、熱くて、キューッとして……。