彼氏の上手なつくりか譚
「学園祭は上川くんと回るの?」
「うん、そのつもりよ」と言って、真奈が申し訳なさそうな顔をした。
「ごめんね。今年は一緒に回れなくて。でも、もし回る人がいなかったら、上川と相談して……」
「ううん、大丈夫。実は私も回る人、いるんだ」
「そうなの? 誰? まさか岡本っち?」
「ううん、カイエンくん」
真奈が怪訝そうな顔をした。言いたいことは、何となくわかる。
「まさか、付き合ってるの?」
「ううん、付き合ってない。でも、好きだって言われた」
「えー!?」真奈の大声で、周りがシーンと静まり返った。
「声がでかいよ!」
「だって、え? 告白されたの?」
真奈が声のトーンを落として聞いた。
「ううん、そういうのじゃないと思う。ただ、好きって言われただけだし」
「言われただけって、理沙……。好きって言われたなら、それはもう立派な告白じゃない!」