彼氏の上手なつくりか譚





「理沙さーん! こっち、こっちですよー!」


行列の中から早希さんの声がして、振り向くと……。


パシャリ!


「慎太郎くん、どうですか?」


「ああ、なかなかよく撮れてるよ。ほら」


中越くんの向けたスマホの画面を見ると、そこには口を半開きにし、白目を剥いたブスが画面いっぱいに写っていた。


「ちょ! ちゃんと事務所通してくださいよ!」


「何の事務所だ? お笑い芸人事務所か?」


相変わらずだ、中越くん。出会った頃のことを思い出す。


「ちょっと慎太郎さん。失礼ですよ。こんな妖怪とお笑い芸人の方を一緒にするなんて」


なんだ、いたのかシスコン野郎。


小さくて見えなかったわ。わっはっはっは……。




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