彼氏の上手なつくりか譚
35>>好きにさせるべし。
スマホがブーブーと震えて、画面を見ると、「天野快延」の文字。
「ごめん、ちょっと電話……」
文芸部の部室を出て、電話に出る。
「ごめん。今終わった」
「お疲れ様です。今どこにいますか?」
「今は……ちょうどお化け屋敷の前かな」
うん。お化け屋敷とだけ言われても……わからない。
「あの……教室で言ってくれませんか?」
「あ、ごめん。2-Bの教室の前だよ」
「じゃあ、今からそっち行きますね」
「いや、いいよ。オレが行く。どこにいるんだ?」
「文芸部の部室ですけど……いいですよ。私が行きます」
そうじゃないと、下村くんとドッキングしてしまう。
「なら、待ち合わせするか。10分後に昇降口でどうだ?」
「昇降口ですね。わかりました」
「じゃあ、また後で」
「はい。また後で」