彼氏の上手なつくりか譚
待ち合わせ場所の昇降口に着くと、すでにカイエンくんは来ていて、私を見つけるなり、軽く手を挙げた。
「ごめん。待たせちゃって」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「文芸部にいたって言ってたっけ? 何してたの?」
「下村くんって友達が文集をくれたんです」
「友達?」
「はい、ただの友達です」
「そっか」
そう言ったカイエンくんの顔には、どこか安堵の色が見えた。
そんなカイエンくんを見ていると、ああ、この人、本当に私のことが好きなんだなってわかる。
そして、そこまで想ってくれるカイエンくんのことを私も好きなのかもしれないって思う。
以上のことから、私は一つの答えを導き出した。