彼氏の上手なつくりか譚
「カイエンくん、チュロス売れました?」
「バカみたいにな。まったく、女ってどうしてこう甘い物が好きなのか。中には、5回も買いに来た奴もいたよ」
「その子、きっとカイエンくんのこと好きなんですよ」
「はあ? どうしてそうなるんだよ?」
「私ならそうすると思うからです。好きな人が頑張ってるから、ちょっとでも助けたいなって気持ちと、5回に分けることで、5回会えるわけですからね。なんか、妬いちゃいます」
「確かに、理沙がオレの立場だったら、妬くかもな」
あれ? この人も鈍感ですか……。
「でも、それなら店番を代わってほしかったよ」
「いえば代わってくれたかもですよ?」
「惜しいことをした」カイエンくんが笑った。
「そしたら、理沙と過ごせる時間が確保できたのに」
「ホントですね」私も笑った。