彼氏の上手なつくりか譚
ブルペンに入ると、ビールケースみたいなのに座って、猫をなでる坊主頭の男子の背中があった。
さっきの猫に間違いない! 坊主頭の方じゃなくて、なでられてる方!
辺りには野球ボールが散らばっていて、どうやら彼の練習中、ここに飛び込んできたらしい。
「あの、すみません。その猫……」
大きな背中が振り返り、私に気づくと、彼は猫をなでていた右手を引っ込めた。
「なんだ? お前の猫か?」
うわっと思った。
眉毛が太くて、黒い。目がキリッとしていて、鼻が大きくて、口がまるで、ものさしで引かれたみたいに真っ直ぐ横に伸びていて。
まあ、簡単に言うと、怖い。