彼氏の上手なつくりか譚
「ねえ、ちょうどいい人っていないかな?」
「ちょうどいいって?」
「うーん、例えば、昨日の二人は、ピッチャーで、私はキャッチャーだったじゃん? そうじゃなくて、ボールを投げたら、ボールが返ってくる、キャッチボールができる人」
「キャッチボールができる人」と真奈が反復した。
「あ、いるよ。二つの意味で。それが3人目」
「私の彼氏候補の?」
「そう。でも、正直、紹介しようかどうか最後まで迷ってたんだよね……」
そう言って、真奈が表情を曇らせた。どこかに欠点がある証拠だ。
「と言うのも、彼は理沙とは一番合わないんじゃないかなって」
「どうして?」
「彼、寡黙なの」