彼氏の上手なつくりか譚





私には、真奈の言っている意味がよくわからなかった。


「だって、理沙も寡黙じゃん。いや、寡黙ってより、控えめかな。動かない石に水滴が当たっても、石はびくともしない。落ちた水滴は、だらしなく散るだけ」


……なるほど。なんとなくわかった気がする。


でも、このままだと私は、自慢チャラ男か文学押し付けクソ野郎かの2択で、青春を終えることになってしまう。


それなら、たとえ石だろうがアタックしてみたい。


たとえ、砕け散ることになったとしても。


「まあ、石の上にも三年ってことわざもあるし、とりあえず会ってみよっか」




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