彼氏の上手なつくりか譚
『猫と話せるんですか?』
返信。すると、すぐに既読マーク。
トーク画面、開きっ放しと見た。
私との会話を待ち望んでいる? と一瞬思ったけど、それは自惚れじゃないかと思い、首を横に振った。
『話せないけど、耳を傾ける努力はしている』
正直、猫と話せるなんてこと自体、ボケたのかなって思ってたけど、あながちそういうわけではなさそうだ。
明らかに、何か深みのある言葉で、中越くんという人間がどういう人間なのか、少しだけ垣間見えた気がする。
『それは人でも同じ?』
すぐに返信が来る。
『いや、人には興味ない』
気がしたけど、気のせいだった。
なんだこいつ。ただのひねくれ者じゃないか。