愛してるからこそ手放す恋もある
「おはようございます」
「あれ?先輩、今日遅いですね?」
「うん…電車でちょっとあってね…」
「もしかしてナンパですか!?勿論断ったんですよね!?ダメですからね!先輩には上を目指してもらって、この会社の改革して貰わないと困りますよ!」
??
どこをどう発想してそうなるの?
「改革って…あのね?私は仕事に生きるなんて一度も言ってないし、勿論思ってませんからね!いつか良い人がいたら結婚もするし、寿退社します!」
子供も産めない私で良いと言ってくれる人がいたらだけど!
「えぇー」という優華ちゃんへ
「優華ちゃんが、私の老後の面倒みてくれるなら、考えるけど?」と言ってみる。
「絶対嫌ですよ!先輩、年取っても正義感振りかざしてそうですもん!あっ勿論、良い意味ですからね?」
正義感…か…
そんなつもり無いんだけどなぁ…
ただ木村部長に言われた様に、生きた証を残そうとしてるだけなのに…
「っパイ!梨華先輩!」
「っんっ?なに?何か言った?」
「最近先輩疲れてませんか?部長に仕事減らしてもらった方が良いですよ?先輩仕事抱えすぎですよ?」
「心配してくれてるの?ありがとう」と、言ってパソコンの電源を入れたところで、菱野部長から声が掛かった。
「佐伯さん、小会議室まで良いかな?」
「はい…」
「ちょっと行ってくるね?」と優華ちゃんへ言うと
「昨日、坂下代理とやらかしませんでした?」と面白そうに聞く。
はぁ?やらかしたってなにを?
「もし、坂下代理からのクレームだったら、助太刀に行きますからね!?」
助太刀に行くって?何処に行くの?
「バカ言ってないで、それ午後イチで提出でしょ?」
「あっそうでした…」
「私尻拭いしないからね!?」
「そんなぁー」
「頑張りなさい」と優華ちゃんの肩を叩いて、小会議室へ向かった。