愛してるからこそ手放す恋もある
菱野部長の話も終わり、デスクに戻ると手元にある仕事を終わらせるべく、パソコンのキーボードをひたすら叩く。

「先輩!先パーイ…」

優華ちゃんは私がなぜ菱野部長に呼ばれたか聞きたいのだと思う。だが、明日からの私の予定が全く予定が立てれない以上、いま抱えてる仕事は終わらせておきたい。

「ゴメンいま無理!」

どれだけ夢中になっていたのだろう?
私のデスクに紙袋と珈琲が置かれた。

ん?

見れば私の好きなサンドウィッチのお店の袋だ。

「何があったか知りませんが、どうせ先輩休憩も取らずに仕事(やる)つもりでしょう?」

優華ちゃん…

「さっさと食べて仕事しますよ!?」

「ありがとう…」

袋の中には私の好きなセサミバケットにエビとアボカドのサンドだった。

このお店会社から離れてるのにわざわざ行ってくれたんだ?

「甘っ」

「優華ちゃんコーヒー甘いよ…」

コーヒーはブラックを好んで飲む私だが、優華ちゃんが買ってきてくれたコーヒーにはたっぷりのミルクと砂糖が入ってた。

「疲れてるときは糖分も必要です!」

「ありがとう…」

それにしても甘すぎる。

今後の事もあるから少し優華ちゃんに話しておこうと思う。

「優華ちゃん、今は、まだ、詳しくは話せないけど、私、いまの仕事離れる事になる」

「えっ!?もしかして寿退社!?できちゃった婚?」

「ちがうから…」

寿退社はもしかしたら、いつかあるかもしれないけど…
できちゃった婚は絶対ない!

「会社は辞めないよ!ちょっと菱野部長からの仕事で、席を空けることが多くなる」

「また、厄介な仕事おしつけられたんですか?菱野部長に!?」

まぁ当たらずも遠からずってとこかな?

「分かりました。私で出来る仕事振って下さい」

じゃ、と言って優華ちゃんにいくつかお願いすることにした。




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