愛してるからこそ手放す恋もある
まさかこんなところで誠に会うなんて思わなかった。
いまさらどうして声かけたの?
忘れたと思っていたのは私だけ?

あの日以来、電話もLINEを送っても既読にさえならず、連絡つかなかった。
だからお金は誠の実家へ送金した。

なのにどうしていまさら…

玄関のドアを開けると、自分の部屋ではないが、少し懐かしく思う。

「懐かしいですよね?」

「なにが?」感情の全く見えない返事。

「だってほら、暫く留守にしてたから…あっ小野田さん疲れましたよね?少し休まれますか?あっお茶いれます?それもともコーヒーが良いですか?」

「いやに捲し立てるな?何かあるのか?まぁ良い、少し書斎にこもる」

なにかあると言うか…
ただ、誠の事を何か聞かれそうで…
怖いと言うか…困ると言うのが正解だと思う。

「…えっ?もう仕事するつもりですか?」

「随分、時間無駄にしたからな?」

ほんとにこの人は仕事人間なんだから!

「じゃ、食事が出来たら声かけますね?」

小野田さんは返事せずに書斎へ入っていった。

さて、洗濯機回して、それから…
あっ菱野部長に連絡!連絡!

小野田さんが無事退院したことを菱野部長へ連絡すればアメリカ本社へも伝わる。

さぁお昼の用意しよう!

退院早々いきなり重いものは良くないし、お昼は軽く餡掛けうどんにしよう!




< 56 / 133 >

この作品をシェア

pagetop