愛してるからこそ手放す恋もある
あまり油売ってると、また怒やされるから早く戻らなきゃ!
「もどりました」
「ああ、お疲れ!」
やっぱりご機嫌ななめ?
部屋へ戻ると案の定機嫌が悪いようだった。
私もなかなか出来るようになってきたのか、ボスの『ああ』の一言で彼の機嫌の良し悪しが分かってしまう。
「ボス何かありましたか?」
「梨華が何処やらで油売ってたお陰で、化粧臭い秘書課の女が二人も来やがった!」
「機嫌の悪い理由はそれですか?…ハァ…でも、『化粧臭い』ってセクハラですよ!?気を付けてください?」
「アホか!?本人が包まれている心地良い“香り”も、俺にとって不快なニオイなら、俺に対するスメル・ハラスメントだ!」
確かに香りには好みがある。
好きな香水やフレグランスの香りがあるように、好みの違う香りを不快に感じることもある。
今は、ファンデーションなど、メイク用品にも香りが有るものも多くある。
好意を持ってない相手なら、尚更、柔軟剤や制汗剤、リフレッシュ向け消臭剤などでさえも、香りが強すぎると立派な「ニオイ」になってしまう。