愛してるからこそ手放す恋もある

「ボスの言い分は分かりましたが、くれぐれも、他では思ったままを口になさらないようにお願いします。それから本日のM社社長との会食ですが、あちらの秘書の方から連絡がありまして、急遽同伴者がおみえになることになったそうです」

「同伴者?」

「はい。副社長でいらっしゃる社長の娘さんだと聞いております」

「………相手が同伴者を伴うなら、こちらも伴うのが礼儀だな?梨華、お前が付き合え!」

「えっ?私ですか!?」

前上層部は全て一掃され、今は新たな上層部で改革が進められている。菱野部長もいまは専務と立場がかわている。

「梨華は俺の優秀な秘書だろ?良いのか?俺が思ったことそのまま言っても?同伴者は女性らしいが?」と右広角をあげて笑う。

その笑みはなんですか!?

「それは相手が誰だろうと、思ったまま、感じたままを口にすると仰ると言うことですか?
そして、それを止めるのは秘書である私の仕事だとボスは仰りたい訳ですね!?」

「おお、察しの良い秘書をもって、俺は助かるよ?」

何が察しの良いだ!?
大人だろ!?
COOだろ!?
私は小野田さんの保護者か!?

「分かりました…会食には同伴させていただきます。その代わり"梨華"と下の名前で呼ぶのはお止めいただけますか?」

「梨華が俺を浩司と呼ぶなら考える!」

はぁ!?……

「あ、あのですね!?海外では親しみを込めて上司を下の名前で呼んだりするかも知りませんが、日本ではあり得ないことなんです!」

「へーそうなんだ?俺、海外が長いから分かんないわ!」

「そうなんです!」




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