愛してるからこそ手放す恋もある

「アハハ…ご冗談はやめましょう…あなたには素敵なご主人がいらっしゃるでしょ?」

小野田さんは冷笑した。

「革具意とはもうずっと上手くいってないの…貴方が日本へ帰って来てると聞いてどんなに嬉しかったか…」

「それは光栄ですね?」と、小野田さんは苦笑する。

「ねぇ覚えてる?初めてデートしたときのこと?」

「さぁ?」

「ほら!鎌倉までドライブに行って車が故障しちゃって…ウフフ…」

「そんなことありましたか?」

笑顔で話してるけど…
苦しそうに見えるのは気のせい?

「浩司、ちょっと気分悪い…ごめんなさい。最近つわり酷くて…」

咄嗟に出てしまった嘘。

「……梨華大丈夫か?」

「え?浩司…あなた達…」驚く佳代さんに小野田さんはにっこり笑った。

「あっ紹介するの遅くなりました。彼女は私の秘書であり、婚約者なんです。今、彼女のお腹にはわたしの児がいるですよ」

「えっ?だってあなた子供は…」

「ええ、子供は嫌いでしたね?でも彼女との子供はほしいと思います。申し訳ありまさせんが、今日はこれで失礼します。梨華大丈夫?」

小野田さんは私を抱き上げその場を離れた。

「ボス…恥ずかしいから下ろして下さい」

「しっ!黙ってろ聞こえるぞ?折角の嘘がばれる!」

小野田さんは私を抱えたまま用意させた部屋まで入った。

私をベッドへ降ろすと、小野田さんはネクタイを緩めた。

えっ!?




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