愛してるからこそ手放す恋もある
浩司 side
2ヶ月前、チーフのボブに呼ばれた。
彼はColdmanと呼ばれる程、仕事に情は一切持ち込まない男。だからRepresentativeDirectorの椅子迄登ってこれたのだろう。
『コージ イッテクレルカイ?』
ここ2年ほど業績の悪い日本支社の事が、本社でも問題になっていた。買収して10年ほどはまずまずの業績だったが、このまま利益が出ないなら切り捨てるべきだという声が上がっている。
『ソレハ キリステロ 卜、イウコトカイ?』
『ソレワ コージニ マカセルヨ?コレカラハ キミノカンカツダ!』
俺に任せる。か…
さぁどうするかな…?
まずは様子を見に行ってみるか…
空港に迎えに来ていた車に乗り、そのまま社へ向かう事にした。
「日本に帰って来たのは何年ぶりだ?」
「さぁ?忘れた」
「まだ彼女の事が忘れられないのか?」
「………」
「いい加減忘れろよ?お前を捨てた女の事なんか?まぁ美人といやー美人だったよな?立っているだけで絵になる女だったからな?」
ひとが忘れていた古傷に、平気で塩を塗るこの男は同期で日本支社の管理部部長の菱野耀一